テクノアークしまね デジタルコンテンツ制作支援室

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特別寄稿 著作権のツボ

第1回 第2回 第3回 第4回

テクノアークしまねは、地域からの情報発信を目指す映像コンテンツ作成の支援を、ハード、ソフト両面から行っている。その一環として行われた著作権の講習会で講師を務めた。2008年2月、土日2日間で延べ11時間を超える集中講義であった。この時もそうであったし、地方のプロダクション合同の著作権研修会などでも経験することだが、プロとしてコンテンツの制作や流通を行っている人たちでも、関係する諸権利の内、何が著作権で何が著作権でないかが十分に分かっていないことがよくある。そこで、本コラムでは、著作権システム及び著作権対応の基本について、コンテンツ発信を目指す人たちのための解説を行っていく。

第1回 「著作権って何」

著作権とは、著作物について著作者に権利を与え、著作者の保護を図るものである。つまり、著作物のないところでは、著作権は関係しない。肖像権やパブリシティー権などは著作権と同じように語られることがよくあるが、基本的に著作権とは関係ないものである。

それでは、著作物とは何か。日本の法律では、「思想または信条を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定められている。すると、「文芸」とは、「学術」とはとひとつひとつが気になるかもしれない。しかし、ここはそう細かく気にする必要はない。このような範囲のものというのを例で示したので、包括的に知的・文化的領域に属するものと解釈されているからである。

従って、大事なのは、(1)思想または感情(2)創作的(3)表現、という三つの要素である。人間の思いや考えを独自に何らかの形で表現したものと考えればよい。「創作性」については、日本では、単純なパクリや真似ではなくて、その人の独自性が何らかの形で表れていれば良いと考えられている。高度に芸術的な創作性が求められているわけではない。子供の作文や絵画も著作物と認められている。よく間違うことがあるのが、「表現」ということである。アイデアは、表現ではないので著作物として保護を受けることはない。氷柱で人を刺し殺せば、あとで溶けて証拠が残らない、という、推理小説のトリックはよく使われているが、これはアイデアであるので盗作とはならない。同じトリックを使っていても、筋立てが違っていて別の表現になっていれば問題はない。その点では、歴史的事実なども同じである。どんな大発見であろうと、「○○年に××が△△をした」という事実は著作物とはならないので、著作権による保護は受けない。

では、どのような権利が与えられているのか。簡単に言えば、「自らの著作物を他人に勝手に利用されない権利」である。どのような使い方についても他人の勝手な利用を止められるかというと、そうではない。法律で、このような使い方については権利を与える、と細かく決められている。この使い方ごとの権利を支分権と呼んでいる。ただし、現行著作権法は大変良く整備されており、現在行われている著作物の使い方については大体網羅されている。他人の著作物を使う際には、その著作物の保護期間が切れていない限りは、権利者の許可を得る必要があると考えた方が良い。

更に、著作者人格権と言う権利があり、その使い方のいかんに関わらず、著作物の公表を決めること、公衆に示す際には著作者の希望する作者名をつけること(つけないことも入る)、著作者の気にいらない改変をしないことについては、著作者固有の権利として認められている。この著作者人格権は、本人が亡くなったあとでも孫までは権利行使することができることになっている。
なお、著作者人格権以外の著作権については、他人に売り払うこともできる。その場合には、買った人が権利者になる。法律上は、著作物を作った人を著作者と言い、著作権を行使する権利を持っている人(著作者自身か著作権を譲り受けた人)を著作権者と呼んでいる。

もう一つ気をつけなければならないのは、著作権法では、著作権とは別に著作隣接権という権利が定められていることである。著作物ではないが、それに近いものとして、著作物の創造・伝搬に貢献し、文化の発展に寄与しているものに著作権に近い権利を与えている。具体的には、実演家、レコード製作者、放送事業者・有線放送事業者に対し、その実演、レコード、放送・有線放送の権利を認めている。これらの権利は、著作権に比べると、支分権の種類が少なく、著作権ほど強い権利は認められていない。しかし、通常の利用に関しては基本的にカバーされているので、勝手に使えないと考えておくべきである。ちなみに、実演とは演奏・歌唱・演技等なので分かりやすいと思われるが、著作物を演じるか、著作物を演じるのではないが芸能的性質を持つものと定義されている。出雲の里神楽を演じるのは、芸能的性質を有しているので実演だが、クイズ番組でタレントがクイズに答えているのは(演出として事前に答えを仕込んでいない限りは)著作物を演じていないから実演ではない。また、レコードは、CDが含まれることはもちろんだが、「物に音を固定したもの」であるからメモリーカードに音が録音されているものやオルゴールも含まれる。

今回は、基本的な著作権法の構成をざっと説明した。後掲の図表と併せて著作権理解の一助になれば幸いである。では、著作物を使うにはどうしたらよいのか、どんなケースでも権利者の許諾を得ないといけないのか、と言った具体的問題は今後取り上げていく。質問大歓迎なので、以下にお寄せ下さい。ただし、個別にお答えすることは無理ですので、このコラムで可能な範囲でおこたえさせて頂きたいと思っております。

上原 伸一

元朝日放送著作権部長、民放連著作権専門部会委員として権利者団体の交渉等に当たる。1997年から著作権関係条約討議のため、WIPO(世界知的所有権機関)の会合に出席。文化庁文化審議会著作権分科会国際小委委員会委員、国士舘大学知財大学院客員教授。個人プロデューサー。ミクロネシア研究家。

もっと知りたい方は・・・

■文化庁 著作権制度に関する情報 ホームページを見る
■テクノアーク1階 一般社団法人島根県発明協会 ホームページを見る